レチノール使用時に私が一番気を付けて診ていること

それは、ビタミンA反応の有無や程度ではありません。

一番重視して診ているものは肌の色の変化です。それも、どれだけ白くなるかの方向ではありません。肌の色が濃くなる方のことであり、地色の悪化、色むらの悪化、黄色化、肝斑の悪化などです(投稿NO.24も参照)。

経過診では、ここしか注意して診ていないといっても過言ではありません。

レチノール使用時には、ビタミンA反応を出してはいけないというのは大原則ですが、ビタミンA反応がなければ適切な使用法となるのではありません。使用していく中で、肝斑を助長したり、色素沈着が知らない間に付いてきたり、その人それぞれに関所があるために、そこを見極めて適切なところまで落とすことがとても重要です。

レチノール使用時には、肌が白くなる事を期待するよりも、むしろ色素沈着が付かないように気をつけて使用することが肝心なのです。特に、炎症で色素沈着が付きやすい肌の方や、地色が元々濃い方、肝斑気質の肌の方では起こりやすくなるので、最初から注意して塗布濃度を選択する必要があります。

この色素沈着はゆっくりと起こることが多いため、日焼けと勘違いしてしまったり、そもそも自分では気付かなかったりすることもあります。そのため、医師による経過診察が必要なのです。

これは、緩いレチノールでも起こり得ますし、数年使用してはじめて分かることもあります。

特にレチノールの濃度を上げる時には、ビタミンA反応の有無や肌質の改善結果よりもこの視点を持つことがとても大切なのですが、レチノールを使い始めの先生方や、患者様においては、往々にして高い濃度のレチノール製品を求める傾向があります。

現在GAUDISKINレチノール製品において、デュアルレチノプラスの出荷量が多すぎます。

GAUDISKINのユーザー様において、まだまだ使用法が強すぎると思います。まだ長期間のフォローアップに至っておられない医療機関様、長期使用に届いていないユーザー様も多いと思います。

長く使用するにつれて、高濃度レチノールは必ずしも必要ではないと思える事が多くなると正解であり、レチノール使用に熟練すればするほど、使用するレチノール濃度は下がっていくことが多くなります。

私は、現在デュアルレチノプラスはほとんど使用していません。デュアルレチノライト以下、それも年々デュアルレチノエクストラライトの比率が上がってきています。

こういう使用法に落ち着くと、炎症で色素沈着の付きやすい日本人の肌にもメリットを感じやすくなり、レチノール本来の目的である肌のコンディションがいいということも感じやすくなります。

このような色素沈着が起こる可能性があるためにレチノール使用を敬遠するということは短絡的です。それよりも色素沈着などが起こらないような使用法を身につける事が重要であり、それが確立できると肌臓器の働きが良くなるというレチノール最大の長所を享受できるようになります。

肌質がよくなったと喜ぶだけ、ましてやビタミンA反応が少しでも出る状態での肌質管理は、「勘違いレチノール治療」と言わざるを得ません。また、週に数回しか使用できない状態では、製品が肌に合っていません。毎日コンスタントに一定量が使える使用法ができてこそ、自分の肌にあったレチノール製品となります。

レチノール濃度を半分に下げてみても肌質の低下を自覚することはほとんどないため、下げるべき時は心配せずに下げてください。ここで肌質が落ちたと感じる方は、元々のレチノール使用法が適切でなく、過矯正になっていただけのことがほとんどです。

自分の肌の働きやコンディションが良くなる使用法を見つけ、長期使用による色素沈着もなく安定して使用できることが、レチノール治療ではとても重要です。

また治療する医療機関側も、このような診察視点を常に持っていることが必須です。

******************************

こちらの記事はInstagramからの転載となります。
» GAUDISKIN®︎公式Instagramはこちら